予防歯科の重要性
年齢を重ねるにつれて歯を失うことは避けられないと考えがちですが、適切な予防を行うことで歯の寿命を大きく延ばすことができます。定期的に歯科医院でケアを受けている患者さんは、そうでない方と比べて、残っている歯の数が多い傾向にあります。
予防歯科では、担当の歯科衛生士が患者さんの長期的なお口の管理をサポートし、クリーニングや生活習慣に合わせたアドバイスを通じて、最適なケアプランをご提供します。
予防歯科とは
予防歯科は、健康な歯を維持し続けるための定期的なメンテナンスを目的としています。従来の歯科治療が「痛みが出てから受診する」スタイルであったのに対し、予防歯科はトラブルを未然に防ぐために定期的な検診やクリーニングを行います。
特に欧米の先進国では「歯科医院は予防のために通う場所」という意識が一般的で、歯の寿命を延ばすためにも予防歯科の重要性が浸透しています。
予防歯科のメリット
むし歯や歯周病を早期発見&未然に防げる
予防歯科により、むし歯や歯周病を早期に発見することで進行を防ぎ、重篤化を回避できます。特にむし歯は初期段階では痛みを感じないため、進行してから発見されるケースが多いです。また、歯周病も進行するまで気づきにくく、気づいたときには歯が抜け落ちる危険があるため、定期的なチェックで健康を守ることが重要です。
健康な歯を長く維持し続けられる
健康な歯をできるだけ削らずに保つことは、歯の寿命を延ばすうえで非常に重要です。一度削ったり失った歯は元には戻せませんが、適切なケアでその寿命を延ばすことが可能です。予防歯科は、健康な歯を長く維持するための有効な方法です。
見た目の美しさ
歯科衛生士によるメンテナンスでは、歯垢や歯石を除去し、歯の表面を滑らかに整えるため、見た目も美しく保てます。口腔内の清潔さが保たれることで、細菌の繁殖が抑えられ、歯周病の進行も防ぎやすくなります。
健康寿命が延びる
研究によると、残存する歯が多いほど健康寿命が長くなる傾向があります。また、歯が20本未満で入れ歯を使っていない高齢者は、認知症のリスクが約2倍になるとされています。予防歯科によって歯を長く保つことは、健康寿命を延ばし、生活の質を高める大きなメリットです。
経済的な負担が軽くなる
予防歯科にかかる費用は、長期的な治療費と比較すると経済的負担が軽くなります。定期メンテナンスにより歯科治療の頻度が減るほか、糖尿病などの全身疾患の予防にもつながるため、生涯の医療費を抑える効果も期待できます。
むし歯や歯周病のリスク把握できる検査
唾液検査
唾液検査は、歯や口腔の健康を維持するために重要な役割を果たします。唾液は食べ物の消化を助け、口内の細菌を洗い流す働きがありますが、その状態がむし歯や歯周病に影響を与えることもあります。唾液検査を行うことで、口腔内の健康状態や細菌の活動状況、唾液の質を詳細に把握でき、個別に最適な予防ケアが提供できます。
検査では、むし歯菌や唾液の分泌量、酸を中和する力(緩衝能)などを測定し、患者さん一人ひとりに合わせた予防プランを作成することが可能です。これにより、むし歯や歯周病の予防、再発防止、さらには妊娠中の口腔ケアにも対応できます。
位相差顕微鏡による細菌検査
歯周病は感染症であり、歯垢や歯石を除去しても、歯周病菌を除菌しなければ症状が再発しやすい特徴があります。
位相差顕微鏡による細菌検査では、患者さんの口腔内に存在する歯周病菌やカビなどの有害な細菌を特定し、その除菌を内科的アプローチで行います。傷口の感染と同様に、歯周病も原因菌の除去が改善のカギとなるため、位相差顕微鏡で原因菌を観察し、適切な治療法を選ぶことで、効果的に歯周病の進行を防ぐことが可能です。
当院の予防処置メニュー
エアフロー
エアフローは、パウダーと水を噴射することで歯の表面を優しく、効果的に清掃するクリーニングです。歯と歯茎の境目や歯間、歯の隙間に溜まった汚れや歯石を取り除くことができ、従来の機械的な方法よりも痛みが少なく、短時間で清潔感を実感できます。定期的にエアフローを受けることで、歯の美しさを保つだけでなく、口腔内の健康も維持でき、むし歯や歯周病予防に繋がります。
口腔内チェック
患者さんの口腔内全体を丁寧に確認し、むし歯や歯茎の腫れ、出血の有無、噛み合わせの異常などをチェックします。また、歯のぐらつき具合を調べる「動揺検査」や、歯と歯茎の間の歯周ポケットの深さを測定し、歯周病の進行具合を確認することで、総合的に口腔内の健康状態を把握します。
スケーリング
日々のブラッシングで取り除ききれない歯垢は硬化して歯石となり、歯磨きでは除去できません。当院では、スケーラーと呼ばれる専用の器具を使用し、歯石を丁寧に除去します。これにより歯の表面が滑らかになり、再度の歯垢や歯石の付着も防ぎやすくなります。
PMTC
PMTCは、特殊な器具や薬剤を用いた歯のクリーニングで、電動の専用ブラシとペーストで歯の表面の汚れを除去します。また、歯と歯の間はデンタルフロスやチップを使って丁寧にケアし、研磨ペーストで歯面を磨き上げた後にフッ素を塗布して仕上げます。軽度の着色も除去できるため、歯の自然な白さが戻り、清潔感が増します。
ブラッシング指導
定期的な歯科ケアだけでなく、日々のセルフケアが予防の鍵となります。
歯科衛生士が、患者さん一人ひとりの歯並びや磨き癖に合わせた、効果的なブラッシング方法や適切な歯ブラシの選び方をアドバイスし、患者さん自身がむし歯や歯周病を予防できるようサポートいたします。
定期検診について
むし歯や歯周病は初期段階では自覚症状が少なく、気づいた時には進行していることが多いです。そのため、治療が難しくなり、通院回数が増えてしまうことがあります。
しかし、定期検診を受けることで、初期の病変を早期に発見でき、治療を軽減することが可能です。また、定期的な歯科クリーニングで、毎日のブラッシングでは取り切れない歯の間や歯茎の隙間の汚れを除去でき、病気の予防にも効果的です。
実際、定期検診を受けていない患者さんとメンテナンスを続けている患者さんでは、むし歯や歯周病の再発率に大きな差があり、検診を受けていない方の再発率は10倍以上になることがわかっています。お口の健康を守るためには、3ヶ月に1度の定期検診を受け、早期発見と予防に努めることが理想的です。